仕事をしている人に毎月支払われる給料。給料には職能給と職務給とがありますが、両者の違いについて詳しく知っている人はそれほど多くありません。両者にはそれほど大きな違いがないように見えますが、それぞれの特徴があり性質が異なります。職能給とは、スタッフの職務遂行能力を基にして賃金を支払う賃金制度のことです。職務遂行能力とは、仕事を行うために必要とされる能力のことを指します。能力には知識や技術、リーダーシップや協調性など、様々な要素が含まれています。
国内の多くの企業では、勤続年数の長さが技術力の高さにつながっていると捉えています。そのため、勤続年数に応じて職能給を上げていくことが多く、年功序列や終身雇用を前提とした賃金制度なのです。したがって従業員の離職を抑制することにつながり、長く安定した雇用を保つことが可能です。人事異動制度にも柔軟に応じてくれる人が多く、企業としても人材確保の点からメリットがあります。
それに対して職務給では、企業が必要とする仕事の内容や難易度、責任の度合いを分類します。そして、それぞれの職務の価値を評価し、賃金に反映させる賃金制度となっています。職能給が人や勤務年数に対する評価で給料が決まるのに対して、職務給では仕事の種類に対して給料が決まるものなのです。バブル崩壊後、国内では職能給の維持が難しくなったことから、職務給を導入する企業が増えています。職務給は評価基準が明確であるため、不平等な賃金格差がなくなるというメリットがあります。